karaagetolemonのブログ

だいたい眠い

檸檬日記*20230528

今年に入ってからの諸々、感想文とかを残しておこうかなと思い立ったので、久しぶりに日記を書きます。いつもだらだらと長くなり過ぎて自分でうんざりしちゃうから、気を付ける。投稿の一部分だけが意図しない形で伸びたりすることがあって、居心地の悪さを覚えるようになったのでTwitterではあまり感想を残さないようになった。作品の感想になるので、ネタバレを避けたいひとは飛ばしてください。("ネタバレ"以外の言葉を見つけたいとずっと思っているのに未だに見つからない。ネタというか……になるんですよね、便宜上つかうけれど。)


・映画『THE FIRST SLAM DUNK』漫画『SLAM DUNK』:わたしは「チャームポイントは影響を受けやすいところ」で暮らしているので、TLの絶賛感想を信じて観てきました。動きや表情の滑らかさに驚いている間にあっという間に終了。試合に集中し過ぎるあまり、映画館で足を攣る不思議な体験をしましたよ。エンタメの力を肌で感じられてうれしかったし、素直な気持ちで楽しかった。うれしかったし楽しかったってどんな感想?とも思いますが、それでいいよね〜とも思う。ヤスが良い表情をしていて……『桐島、部活やめるってよ』の太賀くんくらい良い表情をしています。漫画を読んでから、井上さんは「瞬間」の煌めきを重視するのだなと倍で感じる。良くも悪くもなんだけど。わたしはずっと(どうして宮城くんはあんなに、あんなことがあってもなお、三井とチームメイトとして過ごせるんだろう)の気持ちが根底にあるんだけど、中学時代の「小学生?」「(中1だよっ)」1on1場面で兄と重なったあの一瞬が心の奥に残っているからじゃないかな?などと友人とは話した。でも気持ちとしては腑には落ちない……まぁ、三っちゃんチャーミングで憎めないからな、かわいいしな、と思うのも確か。そして安西先生が花道を棄権させなかったこと、花道の「栄光時代」の話には賛成できない。それもまた瞬間の話だよなと感じる。花道や木暮先輩の1本が勝敗に繋がったり、そういう瞬間の部分の美しさがあるため惹かれる気持ちもある。あとリョーちんの妹がずっと良かった、あの無邪気な姿が画面の中に居なかったら沖縄部分は観れなかったかも。……マイナス意見の比重が多くなってしまったけど、応援上映に行ったり団扇を自作してみたりするくらいには𝑳𝑶𝑽𝑬になっているよ。


・映画『そばかす』:基本的には好きだった時の感想を残しているつもりだけど「好きになれなかった」感情もちゃんと残しておきたいなと思う。安易に文字にしたら、きっと誰かを傷付けてしまうと思って表では言えなかったけれど、わたしはそばかすを好きにはなれなかった。三浦透子さんと前田敦子さんの演技は愛しくて大好き。幼稚園で紙芝居を披露することになって、"恋愛"が優先される/当然のものとして扱われる社会への違和感を描いたアレンジ版『シンデレラ』を発表するくだりに少しモヤモヤした。童話をアレンジしようと試みる姿には惹かれたし、親友と一緒に紙芝居を作っていくところは温かい気持ちで観ていたのだけど。発表時の振る舞いに対して「本当に?」と思って苦い顔になった。大切な作品として扱って欲しかったのに"サプライズ"的に披露される必要があったのだろうか、個人的な感情・体験を描いたはずの紙芝居を事前に周囲に伝えずに無防備な状態で披露できるほど佳純は"リアクション"を想像しないで突き進むようなひとなんだろうか……とぐるぐると考え始めたら辛くなって。その場面からはもうプツンと糸が切れたみたいな感覚で、離れたところから引きの映像で観ている心境だった。それでも、こういう作品が世の中に届けられるのは大切で 数がどんどん増えてほしいと思ってるから見守っていたい。複雑な気持ちのまま数ヶ月が経った。色々なひとの意見を聞きたい。


・映画『ケイコ 目を澄ませて』:三宅唱監督のことが好きなので、観た。すごく好きな映画だった。アマプラに来てるので是非。どんな障壁があるかを他人事として「大変だね」の視点で悲観的に捉えるのではなく、それらをどう日常として過ごしているのかを撮ってるところが良かった。鏡の前でコーチと並んでシャドーボクシングをする場面で、ジャケットの脇が破れてしまったのを見て「また(妻に)怒られちゃうよ」みたいに小さく笑いながら言うコーチが素敵だった。きっと、前にも何度か普段着のまま練習に付き添って破いたりしちゃってるんだなぁ、そういう瞬間を誰かと過ごしたんだなぁと過去の時間をじんわりと感じるような綺麗な光景だった。ドラマチックなものだけが物語ではないし、世の中は特別な存在ばかりではないことに安心させてもらえる。三宅監督は生活の光景を綺麗なものとして残してくれて好き。


・ドラマ『妖怪シェアハウス』:コメディ調のまま、各話で現代社会の暴力や差別構造について切り込んでいて良かった。フェミニズムに関する用語が組み込まれていたところも良かったな、頼もしい。妖怪達による「説明しよう」口調のおかげで、解説的になり過ぎて違和感が出てしまうことなく進むところも魅力的だった(もし違和感あったとしても説明してくれるならうれしい)。ここ数年は"連帯"や"シスターフッド"の言葉の使われ方に少し違和感や不信感を抱く場面もあるのだけど、妖怪シェアハウスの住人達の在り方はとても好きだった。小芝風花さん素敵ね〜と思って、そのあと『トクサツガガガ』を観たし現在進行形で『波よ聞いてくれ』も観てる。はやく『貞子DX』に辿り着きたいです。


・ドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』:観て良かった、観てほしい。割合は高くないけれど男性も妊娠をするようになった社会で"妊夫"となった主人公ケンタロウが、身体の変化と共に様々な不均等や理不尽に気が付いていく過程が描かれてる。妊娠・出産をめぐる問題だけではなく、マイノリティの立場(※妊夫の存在はまだ社会的認知度も低く偏見を持たれている設定)に向けられる視線、声を届ける難しさについても触れていたところが信頼できた。終盤に「僕達は誰も犠牲になっちゃだめだよ。全員の人生を大切にしたい」と伝えて、パートナーの夢やキャリアを尊重しようとする場面があって。その発言に至るまでの躓きや葛藤が描かれた先にある台詞で、おそらく物語の核となる大切なやりとりだったけど、どうしても"犠牲"の言葉が引っかかってしまい……しばらく悩んだ。宝物小説こと『スコーレNo.4』に、親戚から「あなたのお母さんは昔すごかったのよ」と過去形で言われて("母"になる選択は"母"個人から何かを奪ってしまったのだろうか)とショックを受ける描写があるんだけどね、そういう部分を思い出して複雑な気持ちにもなった。ある問題を物語として描く時に、実際にその選択をした/しているのかもしれない現実の誰かが傷付いてしまわないかを考えて苦しくなる。きりがないのは頭ではわかる。メインビジュアルの写真が公開された時点で、トランス嫌悪を含む文脈での炎上が起きていたとの話を少し聞いたので胸が痛む、というか腹が立つ。"物語"として扱っただけではなく このドラマの撮影現場に託児スペースを設置させたとのことで、その背景を含めて惹かれる。良い部分も迷う部分も、ちゃんと「わたし自身」の生活に残るドラマだったな。Netflix Japanはこういう作品をもっとサポートしてほしい。


・漫画『いやはや熱海くん』:すごく良かった、まだ1巻だけど既に大好き。そのひとがその考えを持っていて、そしてその言葉を選んであなたに届けた/届けなかった、の一連をどこまでも慎重に見つめている作品だなと思う。心からうれしい。言葉未満のものを大切に扱っている物語。自分の発言はデリカシー無かったかも、と考えてずっとぐるぐると自己反省会をしてしまう子の「自己嫌悪」の感じとかたまらなくて涙出る。起承転結を焦らない会話があると安心する。それぞれが「言葉を発するまで」に何を考えているのかなんて、誰にも知りようがないから だから怖いし大切にしたいよねぇと頷いたり。……この作品とは別かもしれないけど、例えば、会話の途中で何か発見があって途絶えてしまった時に「それでね、」って話を続けてくれるひとのことが好きだし聞く側だったなら「〜だったっけ?」と続けられるひとでいたい。いつも出来なくてもいいから、できる時に頑張りたい。宙ぶらりんになる会話や感情は目に見えないから不安。


・漫画『煙たい話』:配り歩きたいくらい、とても好きだった。檸檬TMI、富豪になったらやりたいことリストに"好きな漫画を配り歩く"がある。誰かに対して「○○です」と明言できる関係性が当たり前とされる状態、何なんだろう。変だよなとは思いつつも、現実だなと思います。特別に親しかった訳ではない元クラスメイトと、猫を助けたのを機に少し距離が近くなり 一緒に暮らしはじめる物語(要約が下手…詳細は公式をどうぞ……)なんだけど、ふたりの「友達」では言い表せられない関係にわたしはすごく惹かれる。恋愛関係ではない男性ふたりの同居物語、初めて読むかも。幼馴染の女性から、ふたりで喫茶店に居る時に「例えばいまわたしと君がこうして2人で居るのを見たひとは、きっと私たちを恋人同士だと思うでしょう」みたいに言われる場面があるのだけど、その会話が印象的だったな。どう"見られて"いるかで関係性が形作られるの悲しい。街中で見かけた男女二人組の話をする時になるべく「カップル」と言わない/書かないようにしてるんだけど、そういう部分が拾われたような気持ちになれて勝手にうれしかった。


・漫画『アフターゴッド』『マイブロークンマリコ』:高島鈴さんの『布団の中から蜂起せよ』の中にマイブロークンマリコの話が出てきたので、漫画を購入して読みました(布団の中から〜も今年読んだ作品だけど、すごくすごく大切だったからまだ咀嚼できないしアウトプットが難しい)。良かった。友人から勧めてもらった『アフターゴッド』とほぼ同時期に読んだのも良かった気がする。両作とも、親友との悲しい別れがあるので重ねてしまう。家庭内暴力、恋人からの暴力を受けてきた親友を"同性の友人"の立場で支えたい 助けたい時、社会のシステムは何をどう手助けしてくれるだろうかと、やっぱりそこを考えずにはいられない。マイブロークン〜で、しぃちゃんが「あんたにはアタシが居たでしょうが」「一緒に死のうとも言ってくれなかった」と叫ぶ姿に、わたしも傷付く。血縁や戸籍に関わる繋がり以外の"大切な関係"に、選択肢と権利が増えてほしい。


・漫画『愛すべ娘たち』:実は読んだことがないまま過ごしてきた、よしながふみ先生作品をついに読んだ。初よしなが作品がこれで良かったと心底思う。各話に出てくる"娘"達の、言動の生々しさが飛び抜けてた。わたしは特に第4話が好きだったな。「家庭内の男女平等を実現したい」と話す中学生達の切実な言葉が、現代の、現在のわたしから見ても苦しい。「あたしは絶対民間で定年まで勤め上げようと思ってる。だって女にとってまだ働きづらい民間でがんばった方が後々の働く女の人のためになるでしょう」と話した子と、それを聞いてた子。この作品が2003年、つまり20年前に出ている事実にも締め付けられる。読んでほしいな。5年後、10年後、きっと人生の節々で思い出して振り返るだろうなと自分に対して思う。


・ドラマ『消えた初恋』:大橋和也さん歯が多くて可愛すぎる→なにわ男子を少し知りたい→大橋さんは出ていないけど、みんな(TL)が観てたドラマを観てみよう、の流れで視聴。よかったです、愛しい、かわいい。勘違いが連鎖してすれ違う描写とか王道ではあるのだけど、その王道な形式を持ちながら進むのが良かった。異性愛規範に沿った楽曲や物語が多い印象を受けるアイドル界にいるひと達が「それは偏見だ」と明言してくれる(それが演出された"台詞"だとしても)のは有り難いと思う。よく分からないけど定期的に挟まれる、クラスメイトの男女カップルの交流がかなり滑稽な感じで描かれていたのは気になったけれど。バレー部の子達に「生涯あたたかい気持ちで過ごしてほしい」と念を送っちゃうくらいに、バレー部の子達が最高。LINEの会話が変なのも良かったな〜宇宙人に連れ去られてなかった?


・映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(以下、ぬいしゃべ):大好きだった、宝物です。泣き顔&泣き声のままよろよろと買ったパンフレットを家に帰って読んでからまたおいおいと泣いた。「大丈夫じゃない」ことを受け止め合えるのがいいなと思う、けれどふたりがきっと白城を傷付けてもいたことからは目を逸らせない。だから、映画で着ぐるみのくだりが加わっていたのとかうれしかったんですよ。聴くCINRA(ウェブメディアCINRAが主催するポッドキャスト)に金子監督が出演されていた回、聴いてほしいな。「アロマンティック・アセクシュアルの物語ってまだまだ全然足りていなくて。七森はその言葉とは出会っていないけれども、恋愛しない大学生の表象としてこの作品は重要だと思っていて。そういったセクシュアリティの可視化にも繋がるような映画になればと思っていますね」と監督がおっしゃっていて。揺らぎのある状態のひとを描く物語でその「言葉」が使われない時、不安になることもあるけど線引きが難しいなと思う、いつも迷う。言及してくださってうれしかった。ぬいぐるみサークルのみんなが大好き。


・映画『いとみち』:ぬいしゃべの余韻に浸りつつ演者さん達の過去作に目を通していたところ、数年前に友人達が好きだと言っていた『いとみち』の主演が麦戸ちゃん(ぬいしゃべ登場人物のひとり)役の方だったと知ったので慌てて観た。すごく好きな映画だった、誠実さを感じる作品。色々な場面でわたしは「ずるい」と感じて怒ってしまうんだけど、そういうずるさを取り除いてる印象を受けた。本当は、数年前に友人達が好きだと言ってた時点でちゃんと観ていられたら良かったな。バイト先のメイド喫茶で客から痴漢された場面で、"その瞬間を映さない"撮り方をしていたのが本当に良かった。「誰か見ていたひとはいるのか?証明できるのか?」と逆ギレされながら物語は進むんだけど、観る側も物語の人間達と同様に「見た」かどうかは分からない状態にするのが特殊だと思った。店長や同僚が、証明できるかどうかよりも先にまず信じて怒ってくれて。こういう表現があるんだなぁとうれしくて涙でちゃった。誠実な作品だと思ったので好きな映画。いとが同級生の家で三味線を弾き始める光景、美しかった、大切。YouTubeに予告編が幾つかあるので観てほしい。黒川芽衣さんが出てる作品って全て良いですね。


・映画『東京卍リベンジャーズ2』(以下、東リベ):顔圧が凄いな〜よくこんな顔ぶれを集められるな〜何なんだこれは〜と軽い気持ちで観に行った結果、演技の熱量に圧倒されて好きになった。無防備な状態で観たから尚更、不意にこんな高揚感を得られて素直にうれしい。村上虹郎さんの振り切り方が素晴らしいので観て欲しいな、支離滅裂になっていく過程に説得力を持てるのって特別だと思いますよ。興奮が冷めなかったため、夜な夜なインタビュー映像や記事を片端から辿ってみたり。GWは主に東リベのインタビューを漁っていました。演者さん達がお互いを信頼しながら敬意を持って接していること、このタイミングで集まって作り上げた過程を含めて「創作」の誇りを持っていること、が各所の言動から伺えて観ていてこちらもうれしい気持ちになる。主演の北村匠海さんに面と向かって「持っている時間感覚が好きなんだと思う」と伝えていた山田裕貴さんとキラキラの目が眩しかった。思い出しても心がキュッとなる。やまゅさん、良いひと。映像作品から離れていたけれど、何だか数年ぶりに、俳優さんへの関心が高まりつつある良い春です。陰惨なシーンを何度も反復して映す点と、バイト先で執拗に童貞いじりが"笑い"として描かれる点は好きになれないしnot for meですが。村上虹郎さん𝑳𝑶𝑽𝑬になったので、ムビチケなるものを人生で初めて購入しました。


・ドラマ『僕の姉ちゃん』:東リベを観て「杉野遥亮さん………♡」になったので観た。温度感が心地よくて安心して観進められた。すき。こういうポカポカした作品が各クールに1つはあったらいいな。衣装もず〜っと素晴らしかったです。自分には出来ることがあまり無い、と悩む弟に「これだけはやらない」ことを決めておくというのもありじゃない?と提案する姉ちゃん。わたし個人にもリアルに響く言葉だったので、大事に反芻して自分のものにしたい。人生には趣味・特技・長所を聞かれたりする場面があるけど、ふざけずに答えられるものがわたしにはほとんど無くて。でも「思ってないことは言わない」を続けるために何とか頑張っている、つもり。何か特別に秀でている訳じゃなくても、「やらない何か」があるのを肯定してもらえると救われる。黒木華さん演じる"姉ちゃん"が、日々徒然かるたを即席で作っていく場面で「妻にはなっても嫁にはならん!」と大きな声で言ってたのとか良かった。愛しくて目頭きゅっと熱くなりましたよ。


・映画『殺さない彼と死なない彼女』:東リベを観て「間宮祥太朗さん………♡」になったので観た。こちらも、大切な映画体験になったのでとてもとてもうれしい。全編を自然光で撮影しているらしく、屋外シーンはいつもピントも光も揺らぐ間際という感じで その曖昧さも綺麗だった。「死ね」「殺す」が繰り返されるので、断片だけで捉えると肯定はできないけれど。それでも好き。寝ている鹿野の頬にキスをする場面について「寝ている子の唇を奪うのは"隙あり"感が出すぎるし、あまり誠意を感じない」と考えたから監督と相談して口ではなく頬へのキスにしたと間宮祥太朗さんがインタビューで話していて、このひと好きだなと思った。そういう「ずるい」部分を演者さん側も減らそうとしてくださるの、うれしい。キャピ子ちゃんと地味子ちゃんの会話、全て好きだったし脳内で何度でも反芻したい。綺麗なものを見せてもらえた気持ち。好きになること、好きでいること、好きになられること、好きじゃなくなること、個々の不安をどこかふわふわとした空気のまま切実に言葉に残してて良かった。良い映画かは分からないけど好きな映画だった。


・ドラマ『魔法のリノベ』:東リベを観て「間宮祥太朗さん………♡」になったうえに、ほくめろ(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE吉野北人さん)が間宮祥太朗さんの弟役と聞いたので慌てて観た。ふざけた動機と軽い気持ちで観たけれど、とても良いドラマだった。工務店の営業として働く小梅と玄之介が、タッグを組んで住宅リノベーションの依頼を引き受けていくの。初めてふたり一緒に依頼主さんの家に行った時、"夫"のみに名刺を渡して"妻"には渡さなかった玄之介に向かって「0点です」と小梅さんがブチ切れていたのとかグッときた。小梅さんの実家をリノベーションする回では、家庭内の家事分担がされていない 母の負担が高いと指摘していたり。わたしの中で池辺葵さんの『プリンセスメゾン』は宝物漫画のひとつなんだけど、少し重なる部分がある。女性ひとりでマンションを購入+リノベーションを決心する話とか。少し前に読んだ『エトセトラ』の「アイドル、労働、リップ」特集号の編集後記で、鈴木みのりさんが『魔法のリノベ』6話について触れていたので更にうれしい。

 

・ドラマ『今際の国のアリス』:東リベを観て「村上虹郎さん………♡」になったので観た。友人からの推薦。東リベ同様に、村上虹郎さんが画面に居ると緊張感が出て最高〜だった。沸点を急に飛び越えて崩れていった一虎(東リベ)を観た直後に、全体像を静かに見渡しながら飄々と生きながらえていく聡明なチシヤを観たので、振り幅にも最高〜〜になった。最高!諸々ツッコミどころ多過ぎるし、頭脳・体力・関係性が大切とは言え結果のところ主要キャラのほとんどは運で残ってるよねと思うし(運も大事だけど)、ドラマとして好きだったかと言うと首を傾げるんだけど……登場人物の多くが「個人」としての振る舞いをしてたところは好きだった。生き死にの問題だから個を出さずに居られない状況なのだろうとは思うけど。自らの意思で進む主体的な女性キャラがたくさん居たのも良かった、アンとクイナがお互いに信頼を高めていく流れとかメロメロになっちゃいますからね。女性達の撮り方に所謂"ラッキースケベ"的な気配を感じてしまうことも複数回あり、それにはヴッとなる。あと全体像が明らかになる最終話は好きになれなかった。その回がと言うか、それが根底にあるなら物語全体を好きと言うのは難しい。震災の多いこの国で、無責任なことを……と思ったり。超頭が良いけどヤバい人達が超お金持ちだけどヤバい達と一緒に他の星に移住したので地球はもうデスゲーム会場にしました、とかの方が割り切れたかな。


・映画『私をくいとめて』:のんちゃん、映ることを続けてくれてありがとう……輝く存在。眩しい!画面に居てくれるだけでうれしい存在って、たいせつ。ちょうど大前粟生さんの小説『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』『おもろい以外いらんねん』を続けて読んだ直後に観たこともあって、映画の中で"女性芸人"が悲しい目に遭うところを観てボロボロになってしまった。心の中にいる「A」に向かって相談をしながら暮らすみつ子ちゃんが、この先パートナーとの生活を選んだとしてもおひとりさまを選んだとしても、そのままギリギリになる部分ごと肯定して暮らせたらいいなと思う。お付き合いを始めてからまだ日が浅い恋人と急遽ホテルで一泊することになって、距離のとり方でお互いが傷付く一連がものすごく良かった。なあなあになって流れてしまいそうな部分で立ち止まってくれるの心強い。合意を取るのって1番大切なはずなのに、ロマンティックで〜ムードで〜成り行きで〜いい感じに〜ときめきの延長で〜なんとなく、なんとなく「恋人だから」でスキップされてしまう。飛ばさずに怒っている姿をみて安心する。そういえば、『勝手にふるえてろ』の小説で(※映画ではそのシーンは無かった)二がタクシー運転手さんに対してとった態度が許せなくて「他の99を好きでも嫌いになる1ってあるよね」みたいなトゲトゲの気持ちになったんだけど、『私をくいとめて』でのレンタカー内でのやりとりもキツかった。綿谷りさ作品、車にまつわる嫌な態度のリアリティやばいな〜みたいな気持ちに(※レンタカーのくだりが原作にもあるのかは分からない)。ここ数年で観たエンドロールの中で特に好きだった!大瀧詠一って最高。


まだ文字には起こせないけど、慎重に読み進めた『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』と『布団の中から蜂起せよ: アナーカ・フェミニズムのための断章』の2冊も大切。感情だけの話ではなく"構造"の問題に目を向けるために、教育や報道が変化していく必要があると改めて思う。

 

 

何だか全然だらだらと長かった、短くまとめるのって難しい。念の為ゆるりと読み返してみたところ、わたしは「うれしい」気持ちや安心感を大事に選んだり好んだりしてて 自分のそういうところ好きだよ〜と思った。コンサートやリリイベに足を運び、登山やピクニックをして元気にすくすく暮らしております。気圧でぐにゃぐにゃな日が続いたり急に暑かったり、振り回される日々が続きますが皆さんもご自愛くださいね。ラブリーにお過ごしください。『東京卍リベンジャーズ2』の後編-決戦-は6月30日に公開されますので、何卒よろしくお願いいたします。